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ショウジョウバエにおけるPRC1およびPRC2のポリコームクロマチンに対する結合の全ゲノムプロファイリング

Nature Genetics 38, 6 doi: 10.1038/ng1792

ポリコーム群(PcG)タンパク質は、発生過程に重要な遺伝子の転写を持続的に抑圧し、細胞増殖や幹細胞再生に関与していると考えられてきた。全ゲノムを対象とした手法を用いて、ショウジョウバエDorosophila melanogasterのKc細胞において、PcGタンパク質(Pc、esc、Sce)の結合パターンがどんな位置を占めるか調べた。その結果、Pcが、複数の、最大150 kbの大きさをもつ広範なゲノム領域に結合していることを見いだし、これらの領域を「Pcドメイン」と呼ぶことにした。Sceとescも、Pcとともに、Pcドメインの大部分に結合している。PcG結合型クロマチンはヒストンH3の27番Lysでトリメチル化されており、通常は転写が抑制されている。さらに、PcGタンパク質は発生遺伝子に選択的に結合する。発生遺伝子の多くは、転写因子や、Wingless、Hedgehog、Notch、Deltaなどのシグナル伝達経路の中心的な構成因子をコードしている。また、PcGタンパク質が示すと推定される新たな機能をいくつか特定した。例えば、ステロイドホルモン生合成における機能である。これらの研究結果は、PcGタンパク質が多数の抑制型クロマチンドメインを形成することで発生の協調的調節に深く関与していることを明らかにしている。

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