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哺乳類のプロモーター構造と進化の全ゲノム解析

Nature Genetics 38, 6 doi: 10.1038/ng1789

哺乳類のプロモーターは2つの種類に分けることができ、転写開始位置が一定のTATAボックスを多く含むプロモーターのほかに、開始位置がさまざまで、広い範囲を占め、突然変異の生じやすいCpGに富んだプロモーターが存在する。我々は、マウスおよびヒトのゲノムにおいて、数10万個の転写開始部位(TSS)に相当するタグの塩基配列を決定したが、それにより、各種のプロモーターの配列構造や進化を詳細に解析することが可能となった。組織や遺伝子ファミリーが異なると、使われるプロモーターの種類も異なっている。我々の開発したCAGE法を利用すると、異なる組織でのプロモーターの使用頻度を定量解析できる。その結果、タンパク質をコードしている遺伝子では一般的に、異なるTSSが異なる調節を受けていること、そして、異なるN末端を生じさせることがわかった。また、大部分のエキソンや3’UTRに関連した新しい転写開始部位がTSSの中から見いだされた。本研究成果は、組織特異的なプロモーターのゲノム全域にわたる同定、およびこれらのプロモーターに関係するシス作用性エレメントの解析を可能にするものである。

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