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トウモロコシ栽培化遺伝子tb1から上流に離れたエンハンサーは植物体および花序の構造に多面発現効果を示す

Nature Genetics 38, 5 doi: 10.1038/ng1784

複雑な形質の遺伝的成り立ちは量的形質遺伝子座(QTL)のマッピングによって順調に解明されてきたが、特にトウモロコシのように大きなゲノムをもつ植物では、量的変化の分子基盤に関する理解があまり進展していない。teosinte branched1tb1)遺伝子の調節の変化は、トウモロコシ(Zea mays ssp. mays)をその祖先である野生種のテオシント(Z. mays ssp. parviglumisおよびmexicana)と区別する形態的な差を大きく左右するQTLの基礎をなすと考えられている。本研究では精度の高いマッピングをおこない、tb1 cDNAの5’側約58~69kbの遺伝子間配列がZ. maysの形態に多面発現効果を与えることを明らかにした。さらに、対立遺伝子特異的な発現の検定では、tb1の41kb以上上流の配列がtb1の転写をシスに変化させていることが認められた。今回の知見は、さまざまな植物ゲノムで大きな部分を占めている長い非コードDNA領域が遺伝子発現および量的発現型に影響を及ぼす変化の根源として重要である可能性を示すものである。

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