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MPV17はミトコンドリア内膜タンパク質をコードしており、肝ミトコンドリアDNA量低下の乳児において突然変異が生じている

Nature Genetics 38, 5 doi: 10.1038/ng1765

ミトコンドリアDNA(mtDNA)量の低下を特徴とする症候群(mtDNA depletion syndrome、MDDS)は、mtDNAのコピー数の著しい組織特異的低下が起こり、臓器不全を招くことを特徴とする遺伝性疾患である。この疾患の臨床症状にはおもに、筋障害(OMIM 609560)と肝脳変性症(OMIM 251880)の2つがある。TK2SUCLA2DGUOKPOLGなどの既知の突然変異をもつ遺伝子は、MDDSの疾患遺伝子の一部にすぎない。染色体位置2p21-23に肝脳性MDDSに関する新規の遺伝子座を見いだし、統合ゲノム解析という新たな手法を用いて、この遺伝子座に含まれる候補遺伝子の順位づけをおこなった。順位が上の候補遺伝子の1つが、マウスの腎臓疾患の原因遺伝子であるMpv17に対するヒトのオーソロガス遺伝子であった。疾患の分離解析をおこなうことで、肝脳性MDDS患者の3つの家系において突然変異がみつかった。さらに、Mpv17遺伝子産物がペルオキシソームに局在するとされているのに反して、MPV17はミトコンドリア内膜タンパク質であり、その不在もしくは機能障害が、罹患者だけでなくMpv17-/-マウスにおいても、酸化的リン酸化(OXPHOS)の低下を引き起こすことが明らかになった。

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