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Nalp1bはマウスのマクロファージの致死性炭疽毒素感受性を制御する

Nature Genetics 38, 2 doi: 10.1038/ng1724

炭疽病を引き起こす細菌である炭疽菌(Bacillus anthracis)の発病機序は、3つの因子の分泌に依存しており、これら3つの因子の組み合わせによって2つの作用をもつ毒素が形成される。防御抗原(PA)と浮腫因子(EF)から構成される浮腫毒素は、皮膚炭疽感染に関連する浮腫を引き起こすが、一方、PAと致死因子(LF)から構成される致死毒素(LeTx)は、全身性の炭疽感染で死亡の原因となると考えられている。PAが、EFとLFを多くの種類の細胞の細胞質ゾルに輸送できる。マウスのマクロファージにおいては、LFは全身性感染の病理に関与すると考えられる急速な壊死を引き起こす可能性がある。近交系マウスは、LeTxが誘導するマクロファージの壊死に対してさまざまな感受性を示す。この形質の差は、Ltxs1と名づけられた11番染色体の遺伝子座に位置決定されている。本論文では、この遺伝子座にあり、多型の程度が非常に大きい遺伝子Nalp1bが、マウスのマクロファージのLeTx感受性の主要なメディエーターであることを示す。我々はまた、LeTxが誘導するマクロファージの死にはカスペース1が必要であり、カスペース1は中毒後に感受性マクロファージにおいて活性化されるが、抵抗性マクロファージにおいては活性化されないことも示す。このことは、Nalp1bがLeTxに応答して、直接的あるいは間接的にカスペース1を活性化することを示唆している。

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