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多段階の遺伝子再編成を介した新たなタンパク質構造のトポロジーの進化

Nature Genetics 38, 2 doi: 10.1038/ng1717

タンパク質の新しい折りたたみ構造は進化を通じて出現してくるが、タンパク質の機能を維持しながら折りたたみ構造の進化を可能にする機構、特に数回の連続的な遺伝子の再編成を必要とする場合の仕組みについては、依然として明らかでない。今回我々は、DNAメチルトランスフェラーゼスーパーファミリーを構成するトポロジーの異なるファミリーを結びつける進化経路を仮定し、その検討をおこなった。これらの経路は、一連の中間産物を経た連続的な遺伝子再編成を必要とするもので、どの中間産物も生物の適応度を保つために十分に有効なものである。我々はHaeIIIメチルトランスフェラーゼ(M.HaeIII)を出発物質とし、進化分子工学の手法を利用して、生体内(in vivo)で機能を有するこの経路のすべての中間体(重複融合遺伝子、および5´もしくは3´コード領域が部分的に短い重複遺伝子)を選び出した。これらの中間体から新たな機能遺伝子が見つかった。それらは、自然界に存在する既知の3種のメチルトランスフェラーゼに類似しているか、もしくは本研究においてはじめて観察され、後に野生型ゲノム内に同定された新しい種類に属するものである。この結果は、タンパク質構造の新トポロジーは多段階の遺伝子再編成を経由して徐々に進化していくことを示しており、こうした過程に関する新たな知見を与えるものである。

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