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Trak1の変異は筋緊張性マウスにおいてGABAA受容体のホメオスタシスを乱す

Nature Genetics 38, 2 doi: 10.1038/ng1715

筋緊張亢進は、中枢神経系(CNS)における運動神経路の異常から生じ、脳性麻痺や脳卒中、脊髄損傷、stiff-person症候群、痙性対麻痺、ジストニア、パーキンソン病などの神経に関する多くの疾患で認められる。筋緊張性(hyrt)遺伝子に変異をもつマウスは、初期症状として激しい筋緊張亢進を示す。本論文では、hyrt変異マウスは、野生型マウスよりも、CNS、特に下位運動ニューロンにおいて、γアミノ酪酸A(GABAA)受容体の量が低いことを示す。このことは、変異マウスの筋緊張性はGABAを介する運動ニューロン抑制の欠如によって引き起こされる可能性があることを示している。我々は、その原因遺伝子として輸送タンパク質であるキネシン結合タンパク質1(Trak1)をクローニングし、そのタンパク質産物がGABAA受容体と相互作用することを示した。我々のデータは、Trak1がGABAA受容体のホメオスタシスの重要な調節因子であることを示唆し、ヒトの神経系の疾患に関連する筋緊張亢進の分子的病因を研究するモデルとして、hyrtマウスの重要性を強調するものである。

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