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エストロゲン受容体結合部位の全ゲノム解析

Nature Genetics 38, 11 doi: 10.1038/ng1901

エストロゲン受容体は乳癌の診断指標となるマスター転写制御因子であり、分子治療における標的の原型とされている。我々は、乳癌細胞において、エステロゲン受容体とRNAポリメラーゼIIの結合部位を全ゲノムにわたって位置決定(マップ)し、真のcis結合部位と標的遺伝子を同定した。他に類をみないこの全ゲノム解析の結果と遺伝子発現のデータを合わせることで、エストロゲンの調節を受ける遺伝子、特にエストロゲンにより発現が抑制される遺伝子の発現が、その発現時期によって異なる制御を受けていることが明らかになった。さらに本研究成果によって、乳癌におけるエステロゲンのシグナル伝達に関与するものとして、今までは明らかにされていなかったゲノム領域に存在するcis制御部位や、エストロゲン受容体と協調して作用する転写因子を同定することが可能になった。

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