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チップを用いた染色体構造捕捉(4C)によって明らかになった活性および不活性クロマチンドメインをもつ核の構造

Nature Genetics 38, 11 doi: 10.1038/ng1896

細胞核内のDNAの空間的配置はゲノムの機能にとって重要な意味をもつことが最近わかってきた。我々は、4C技術(チップ(C)を用いた染色体構造捕捉(3C))を開発した。この方法は、核内空間において、あるDNA座位と接する座位を、バイアスをかけることなくゲノムワイドに検索するものである。本論文では、転写活性のある遺伝子も、転写活性のない遺伝子も、1つの染色体内で長い領域にわたり多数の相互作用に関わっており、また染色体間での接触をも作り出していることを示す。胎児の肝臓において転写活性のあるβグロビン座位は、転写されているが必ずしも組織特異的ではない第7番染色体の別な部位に接触し、一方、胎児脳で非活性であるその座位が、転写されていない別な部位に接触していることがわかった。第8番染色体の、遺伝子が密に存在する領域にある構成的遺伝子は、他の転写活性のある遺伝子クラスターとcisあるいはtransに長い領域にわたって接触しており、これらの染色体内あるいは染色体間での相互作用の多くは、解析した組織間で保存されていた。本研究データから、染色体は活性クロマチンと不活性クロマチン領域に折りたたまれていることがわかり、4C技術がこうした核の構造を研究する上で強力なツールとなることを示すものである。

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