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Irf6はケラチノサイトの増殖‐分化のスイッチにおける重要な決定因子である

Nature Genetics 38, 11 doi: 10.1038/ng1894

表皮は高度に組織化された構造体であり、表皮が完全な状態にあることが生体防御の要となる。表皮の発生およびその後の維持は、常在する幹細胞集団の増殖と分化との複雑なバランスに決定的に依存しているが、in vivo条件下においてその増殖から分化へのスイッチを制御しているシグナルは依然として明らかでない。本論文では、インターフェロン制御因子6遺伝子(Irf6)にホモ接合性の突然変異をもつマウスは、最終的な分化に至らないことによる表皮細胞の増殖亢進を示し、その結果、軟部組織の癒合を生じていることを示す。この遺伝子は、ヒトの先天性疾患であるVan der Woude症候群やpopliteal pterygium症候群(膝窩翼状片症候群)で突然変異が生じている遺伝子のホモログである。さらに、Irf6の突然変異と、細胞周期制御タンパク質stratifin(Sfn;14-3-3σとしても知られる)をコードする遺伝子の突然変異に関する複合ヘテロ接合体であるマウスにおいては、同様に、表皮細胞が角質化されないことを明らかにする。本研究成果は、Irf6がケラチノサイトの増殖から分化へのスイッチの重要な決定因子であり、Irf6とSfnがこの過程において遺伝学的に相互作用していることを示唆するものである。

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