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認知症をともなう遺伝性パーキンソニズムはリソソーム5型P型ATPアーゼをコードするATP13A2の変異により引き起こされる

Nature Genetics 38, 10 doi: 10.1038/ng1884

パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性障害は、運動および認知機能障害を引き起こし、ありふれてはいるが日常生活に支障をきたす不均一な疾患のグループに属す。神経変性の複雑な分子病態生理はほとんど明らかになっていないが、これらの疾患のメンデル遺伝型にもとづいて遺伝的異常を解明することにより、多数の成果が得られてきている。そして、酸化ストレスの増大、タンパク質のミスフォールディングや凝集およびユビキチン・プロテアソーム系の機能不全などの共通する病態生理経路の発見が導かれてきた。本論文では、主にニューロンに認められるが、これまでに性状解析がおこなわれていなかったP型ATPアーゼ遺伝子、ATP13A2の機能喪失性変異が、錐体の変性および認知症をともなう常染色体劣性の早期発症型パーキンソニズム(PARK9、Kufor-Rakeb 症候群)の原因であることを示す。野生型タンパク質は一過性に形質導入された細胞のリソソームに局在していたが、不安定な短縮型変異タンパク質は、小胞体に保持され、プロテアソームによって分解された。我々の結果は、機能も基質特異性も未知のあるタンパク質のクラスが、神経変性やパーキンソニズムに関与するタンパク質ネットワークに関連することを示唆するものである。

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