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分泌に関与するCOPIIコートタンパク質の構成要素であるSec23aは頭蓋顔面の軟骨細胞の成熟に不可欠である

Nature Genetics 38, 10 doi: 10.1038/ng1880

ヒトにおいて分泌経路の遺伝子の変異と関連のある疾患の報告が増えてきている。ゼブラフィッシュの化学誘発変異体であるcrusherでは、頭蓋顔面骨格の形成異常、胸びれの屈曲および体長の短縮が認められる。本論文では、ポジショナルクローニングによって、COPII複合体の膜内在性構成要素であるsec23a遺伝子におけるロイシンを終止コドン(L402X)へ変化させるナンセンス変異を同定した。COPII複合体は、小胞体とゴルジ装置間のタンパク質の順行輸送に不可欠である。ゼブラフィッシュのcrusher変異体は、頭蓋顔面の軟骨形成が開始されるまでは正常に発生する。crusher軟骨細胞では拡張した小胞体にタンパク質が蓄積しており、その結果、タイプIIコラーゲンなどの、軟骨の細胞外マトリックス(ECM)の沈着が激減する。我々は、パラロガス遺伝子であるsec23bも軟骨細胞におけるECM分泌経路の不可欠な構成要素であることを示す。一方、COPI複合体のノックダウンは頭蓋顔面の形態形成を阻害しない。SEC23Aの異常がcranio-lenticulo-sutural dysplasia(頭蓋・水晶体・縫合異形成症)症候群を引き起こすので、crusherは、小胞体からゴルジへの輸送に関する生物学と、臨床的に意義のある異形症との関連を示す最初の脊椎動物モデル系である。

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