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比較ゲノム解析によって予測されるヌクレオソームの占める位置

Nature Genetics 38, 10 doi: 10.1038/ng1878

ヌクレオソームのゲノム上での配置によって遺伝子へのアクセスが調節される可能性があり、DNAの塩基配列が、このヌクレオソーム配置の際の重要な寄与因子であると認識されて久しい。プロモーター領域におけるヌクレオソームの構造が、その配置の根拠となる配列によってどの程度わかるかについては、現在研究が進められている。本論文では、比較ゲノム解析によって示された、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの全遺伝子の近傍に位置するヌクレオソーム配置配列(NPS)の、ゲノム全域における位置を報告する。我々は、配置を決めると思われるDNA配列が、実験によってゲノムの狭い領域に絞りこんだヌクレオソームの位置を、きわめて的確に予測することを見いだした。注目に値するのは、異なった種類の遺伝子においては、その発現調節に重要と思われるNPSがそれぞれ特徴的な構成をとっていることである。特に、プロモーター領域全体にわたってNPSが比較的密集した構成をとっている遺伝子は、NPS内部にTATAボックスを含んでいることが多く、クロマチン修飾・再構築因子によって高度に調節を受ける傾向があった。

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