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レニン・アンギオテンシン系の遺伝子における変異が常染色体劣性腎尿細管発育障害に関連する

Nature Genetics 37, 9 doi: 10.1038/ng1623

常染色体劣性腎尿細管発育障害(renal tubular dysgenesis)は、持続性の胎児無尿症と、おそらく早期発症の羊水過少による肺低形成(ポッター表現型)が原因の周産期死亡とを特徴とする、重症の腎尿細管発生異常である。分化した近位尿細管の欠如あるいは不足が、この疾患の病理組織学的特徴であり、また頭蓋骨の骨化異常にも関連している可能性がある。我々は、9つの家系に属する腎尿細管発育障害の11人を調査し、レニン、アンギオテンシノーゲン、アンギオテンシン変換酵素、あるいはアンギオテンシンIIの1型受容体をコードする遺伝子が、ホモ接合性あるいは複合へテロ接合性の変異をもつことを見いだした。腎病変と早期の無尿症は、レニン・アンギオテンシン系の不活性化の結果である胎児腎臓の慢性的な低潅流圧によって引き起こされると考えられる。これは、レニン・アンギオテンシン系における遺伝的な異常に連鎖する腎のメンデル型遺伝病を、我々の知る限り最初に同定したものであり、ヒトの腎発生に果たすレニン・アンギオテンシン系の重要な役割を示すものである。

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