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Dkk2は骨芽細胞の最終分化および石灰化基質の形成において役割を担っている

Nature Genetics 37, 9 doi: 10.1038/ng1614

ヒトとマウスの遺伝的およびin vitroにおける証拠から、従来型Wntシグナル伝達は骨形成を促進することが示されているが、我々は従来型Wntの拮抗物質Dickkopf2(Dkk2)を欠損するマウスが骨量減少症であることを見いだした。我々は、複数の培養骨芽細胞分化モデルにおいて、従来型Wntシグナル伝達が、前骨芽細胞から骨芽細胞までの分化を含む骨形成を促進するという結果を再確認した。しかし、我々はまた、従来型Wntsが骨芽細胞においてDkk2の発現を増強することも見いだした。培養細胞系において内因性の従来型Wnt(Wnt7b)の発現前に外因性のDkkを過剰発現させると、骨形成が抑制されたが、Wnt7b発現のピーク後にDkk2を発現させると、石灰化を引き起こす骨芽細胞の最終分化に類似した表現型を誘導した。さらに、Dkk2欠損マウスの骨芽細胞は、培養細胞系での骨形成誘導ではほとんど石灰化しなかった。また、Dkk2欠損は骨形成マーカーの発現を減弱させるが、これは外因性Dkk2の発現により部分的に回復させることができた。Dkk2欠損マウスでは類骨の数が増加しているという結果とともに、これらの結果は、Dkk2は基質の石灰化という骨芽細胞分化の後期に役割を担っていることを示す。他のWnt拮抗物質であるFRP3の発現は、Dkk2欠損を回復しそして骨芽細胞の分化を調節するDkk2の発現とは異なっているので、骨芽細胞の最終分化に対するDkk2の作用は、Wntシグナル伝達の拮抗活性によって仲介されるものがすべてではないのかもしれない。

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