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CD209プロモーターにおける多型はデングウイルス感染症の重篤度と関連がある

Nature Genetics 37, 5 doi: 10.1038/ng1550

デング熱およびデング出血熱は、蚊が媒介するウイルス疾患である。デング熱ウイルスの捕捉受容体であるDC-SIGN1(Dendritic cell-specific ICAM-3 grabbing nonintegrin 1、CD209がコードしている)は、樹状細胞での増殖性感染に必須である。本論文では、CD209プロモーターの多型であるDCSIGN1-336の、デング熱患者、デング出血熱患者、対照健常者における出現率を比較し、この多型とデング熱発症のリスクとの強い関連性を報告する。DCSIGN1-336のG対立遺伝子多型をもつ個体は、出自がタイ国である3つの血縁関係のないコホートにおいて、デング熱を発症しにくいという関連を示した。すなわち、デング熱患者におけるこの多型のキャリア頻度は4.7%であったが、それに対してデング出血熱患者では22.4%[デング熱に対するデング出血熱のリスクに関するオッズ比は5.84(P=1.4×10-7]、対照集団では19.5%[デング熱にかからないオッズ比は4.90(P=2×10-6)]であった。この遺伝子多型はSp1様結合部位とin vitroにおける転写活性に影響を及ぼす。これらの結果はCD209が、デングウイルス感染後に重篤なデング熱もしくはデング出血熱のいずれの経過をたどるかというデングウイルスの病原性に関して、決定的な役割を果たしていることを示唆するものである。この事実は治療方針や予防策に重要であると思われる。

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