Letter

ゲノムスキャンマーカーを用いた高血圧遺伝子座の混在マッピング

Nature Genetics 37, 2 doi: 10.1038/ng1510

高血圧のリスクに寄与している遺伝的変異の同定は難題である。我々は連鎖解析と候補遺伝子関連解析を補完するものとして、ゲノムスキャン(genome scan)マイクロサテライトマーカーを用いて、米国の国立心臓肺血液研究所(NHLBI)のFamily Blood Pressure Program(FBPP)に参加しているアフリカ系アメリカ人に対する混在マッピング(admixture mapping)を行った。この集団は、アフリカとヨーロッパに起源をもつ祖先集団から最近になって混在が生じたと考えられた。我々は、アフリカ系祖先集団の代表として血縁関係にないナイジェリアを出自とする集団を、またヨーロッパ系祖先の推定対立遺伝子頻度を得るためにFBPPのヨーロッパ系アメリカ人の集団を用いた。我々は上記の3種の集団に対して、既存の269のマイクロサテライトマーカーの遺伝子型決定を同一条件下でおこなった。多点解析にもとづいてマーカーの位置に特異的なアフリカ系祖先の分布状態を調べると、高血圧の患者の場合は正常血圧の対照健常者に比べて上方にシフトしており、これは高血圧になりやすい体質とする遺伝子への連鎖に一致していた。このシフトは主として、6番染色体長腕(6q)上にある5つの隣接マーカーおよび21番染色体長腕(21q)の2つの隣接マーカーをはじめとする、少数の遺伝子座に起因している。これらの結果は、染色体位置6q24と21q21にアフリカ系アメリカ人の高血圧発症リスクに影響を与える遺伝子群が存在する可能性を示唆する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度