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マミチョグ(Fundulus heteroclitus)の心臓の代謝および遺伝子発現における自然変動

Nature Genetics 37, 1 doi: 10.1038/ng1483

遺伝子発現において各個体が示すバリエーションは、進化的な適応あるいは疾患感受性や病理にとって重要である。本研究では、マイクロアレイを使用して、心臓の代謝とmRNA発現のパターンを比較することで、こうしたバリエーションがもたらす機能上の重要性について検討する。共通の環境で飼育した自然の非近交系集団に属する硬骨魚マミチョグ(Fundulus heteroclitus)個体間で、心臓の代謝と代謝遺伝子の発現の両方においてかなりの程度のバリエーションがみられる。つまり、代謝は個体間で2倍以上異なっており、94%の遺伝子の発現レベルは1集団の個体間で有意に異なっていた(P < 0.01)。こうした代謝遺伝子の発現にみられる予期せぬ変動の大きさは、代謝におけるバリエーションの大部分を説明し、それが生物学的に関連していることを示唆している。心臓の代謝を説明するのに最も重要な遺伝子発現のパターンは、個体群間で異なっている。代謝の変動は、異なった個体群における遺伝子発現のパターンの違いに関連しているようである。これらの個体群のもつ遺伝子発現の大きさの違いには重要性がなく、発現の大きな変化は小さな変化より予測的価値が大きいというわけではない。これらのデータは、生理的能力のバリエーションが、遺伝子発現にみられるわずかな変動に関連しており、この関連が個体間で異なっていることを示唆するものである。

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