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Timp3-/-マウスにおけるTNFの活性異常は肝臓の慢性の炎症と再生不良を引き起こす

Nature Genetics 36, 9 doi: 10.1038/ng1413

腫瘍壊死因子(TNF)は多機能サイトカインであり、いくつかの臓器で生理学的、病理学的反応を引き起こす。本論文では、マウス遺伝子Timp3の欠失が、肝臓において、TNF-α変換酵素活性を上昇させ、構成的なTNF分泌を促し、TNFシグナル伝達系を活性化したことを示す。Timp3-/-マウスにおけるTNFの上昇は、最終的には、ヒトにおける慢性肝炎にもみられる特徴である肝リンパ球の浸潤と細胞死をもたらした。Timp3の欠失がTnfrsf1aの欠失と組み合わさると、この症状があらわれることはなかった。TNFシグナル伝達系を必要とする肝再生モデルにおいて、Timp3-/-マウスは、肝不全により死亡した。Timp3-/-マウスの肝細胞は、細胞周期をまっとうできたが、その後も持続するTNFの活性によって細胞死に至った。この肝細胞死は、TNFの中和抗体により完全に救済された。TNFの制御不全は、Timp3-/-マウスに特異的に生じ、Timp1-/-マウスでは起こらなかった。これらのデータからTIMP3は、組織の恒常性と損傷への応答の両方において、TNFに対する内在性の負の制御因子として非常に重要であることが示された。

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