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ショウジョウバエのヘマンジオブラストの証拠と、ショウジョウバエにおけるリンパ組織による造血と哺乳類の中胚葉由来AGM(大動脈‐生殖隆起‐中腎)領域との類似性

Nature Genetics 36, 9 doi: 10.1038/ng1404

ショウジョウバエDrosophila melanogasterのリンパ組織は造血器官であり、予定血管細胞(心臓芽細胞)および予定排泄細胞(心臓周囲腎細胞)とともに、心臓性中胚葉から生じる。クローン解析により、1つは心臓や大動脈、もう1つは血液細胞へと分化していく、2種類の細胞を産生するヘマンジオブラスト(血液血管前駆細胞)が存在する証拠が得られた。さらに、リンパ組織をはじめとするすべての心臓性中胚葉の発生には、GATA因子遺伝子pannier(pnr)とホメオボックス遺伝子tinman(tin)が必須であり、これら両遺伝子は Decapentaplegic (Dpp)、繊維芽細胞増殖因子 (FGF)、Wingless (Wg) 、 Notchのシグナル伝達の統合的な制御下に存在する。本論文では、血液細胞・腎細胞系譜細胞か、あるいは血管細胞系譜のいずれかに分化する重要な遺伝的スイッチには、Notch経路が関与することを示す。さらなる分化方向の指定は、リンパ組織原基におけるGATA因子Serpent(Srp)の特異的発現により起こる。本研究結果は、ショウジョウバエD. melanogasterの心臓性中胚葉と、哺乳類のAGM領域中胚葉の、きわめて高い機能的類似性を示唆するものである。

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