Research Highlights

真菌のScc2型姉妹染色分体接着タンパク質やショウジョウバエのNipped-BのホモログをコードするNIPBLはコルネリア・デ・ランゲ症候群において変異している

Nature Genetics 36, 6 doi: 10.1038/ng1363

コルネリア・デ・ランゲ症候群(CdLS)は多種の奇形をもつ病気で、顔面異形、精神遅滞、成長遅延、四肢欠落などの特徴をともなう。我々はNIPBLという新しい遺伝子を同定し、それらがCdLS患者で変異していることを見いだした。さらにその構造、およびマウス、ラット、ゼブラフィッシュにおけるホモログの構造も決定した。また、そのタンパク質産物をデランジン(delangin)と命名した。脊椎動物のデランジンは、Scc2型の姉妹染色分体接着タンパク質やショウジョウバエD. melanogasterのNipped-Bをはじめ、ショウジョウバエ、線虫、植物、真菌のオーソログと非常に高い相同性を有している。我々は、デランジンの機能の障害によって、DLX遺伝子が誤って活性化され、それによってCdLSの近位-遠位肢でのパターン形成の欠如を引き起こすという仮説を提唱する。ゲノム解析によって2倍体の動物や植物ゲノムのなかに存在する各デランジンやNipped-B様のオーソログが同定されている。祖先姉妹染色分体接着タンパク質が進化により発生における遺伝子調節という付加的役割を獲得したと考えると、CdLSとロバート症候群における類似が示唆される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度