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結腸直腸癌においてSFRP遺伝子の後成的な不活化により構成的なWNTシグナル伝達が起こる

Nature Genetics 36, 4 doi: 10.1038/ng1330

WNT系路のシグナル伝達の異常は、結腸直腸癌の90%において発癌の初期段階に認められ、主としてAPC、それほど頻繁ではないがCTNNB1 (β-カテニンをコードする) あるいはAXIN2(conductinとしても知られるアキシン-2をコードする) の変異により起こる。これらの変異により、核内に遊離型のβ-カテニンを異常蓄積させるリガンド非依存的なWNTシグナル伝達が起こる。我々はこれまでに、結腸直腸癌において、分泌型frizzled関連タンパク質 (SFRP)をコードする複数の遺伝子において、プロモーターの高メチル化および遺伝子のサイレンシングが高頻度に起こっていることを同定した。SFRPは、WNT受容体であるfrizzledタンパク質と類似のドメインをもち、発生期に、WNTの受容体への結合を阻害し、WNT経路のシグナル伝達を減弱させることができる。今回我々は、結腸直腸癌細胞において、WNTシグナルの下流に変異が存在する場合でも、SFRP機能を回復させることによりWNTシグナル伝達が弱まることを示す。我々はまた、SFRP機能の後成的な欠損が、結腸直腸の発癌初期段階に起こり、それゆえ、結腸直腸癌の進展において、WNTシグナルの下流の変異を補うために必要な構成的なWNTシグナル伝達が供給されるのかもしれないことを示す。

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