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大腸菌Escherichia coliで突然変異の作用は広範囲にわたりエピスタシスおよび表現型可塑性の共同効果を受ける

Nature Genetics 36, 4 doi: 10.1038/ng1324

表現型および適応度に対する突然変異の影響は、環境(表現型可塑性)および他の突然変異(遺伝的エピスタシス、すなわち遺伝子座間の相互作用)のいずれか、または両方に依存する。本論文では、E.coliにおいて18個のランダムな挿入変異による適応度の変化を、2種類の栄養源環境および5種類の遺伝的背景の下で調べた。それぞれの変異において、可塑性とエピスタシスが適応度の変化に与える影響を、これら異なる環境および遺伝的背景のすべての場合について比較した。測定可能な影響がどの場合にもみられない変異がいくつか存在した。遺伝的背景には無関係に表現型可塑性により適応度が変化するといった変異は存在しなかった。しかし半数の変異においては、変異の影響が遺伝的背景の違いにより異なり、たいていは環境にも依存するというようなエピスタシス相互作用がみられた。また、遺伝的背景の違いによる変異の影響パターンは、エピスタシスが主としてその集団の進化上ただ1回の変異によって生まれたものであって、共通の環境の変化にともなって繰り返し起こった変異によるものではないということを示唆している。

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