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対立遺伝子の短縮型変異によりもたらされる異なった神経学的表現型の分子機序

Nature Genetics 36, 4 doi: 10.1038/ng1322

どのような分子機序によって、同一遺伝子内の異なる変異が別々の疾患表現型を引き起こしうるかについては、ほとんどが不明のままである。SOX10の短縮型変異は、PCWHと呼ばれる複合型の神経堤症か、あるいはそれより限定的な症状を示すワールデンブルグ−シャー症候群 (WS4、 OMIM277580)のどちらかの原因となる。今回我々は、翻訳を未成熟に終結させるナンセンスおよびフレームシフト変異は、どれもが強い優性ネガティブ活性をもつSOX10の短縮型タンパク質を生成すること、しかしながら、より重篤な疾患表現型を示すPCWHは、変異体mRNAがナンセンス変異依存的分解(nonsense-mediated decay; NMD)経路を逃れたときにはじめて引き起こされることを報告する。我々は、異なる髄鞘障害型ニューロパチーの原因となるMPZの短縮型変異においても同様の結果を観察した。我々の実験は、変異がNMDを誘起するか、あるいはNMDを回避するかによって、異なる神経学的表現型を引き起こしうることを示すものである。

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