Article

RITS は RNAi を介した転写および転写後のサイレンシングを促進するためにシスにはたらく

Nature Genetics 36, 11 doi: 10.1038/ng1452

RNAiは保存されたメカニズムで、二本鎖RNA由来の短いRNA(siRNA)が転写レベルおよび転写後レベルのサイレンシングを引き起こす。分裂酵母RITS複合体は、Dicerによって生成されたsiRNAを含んでおり、ヘテロクロマチン形成に必要である。我々はこの論文で、Argonauteタンパク質を含むRITSの構成要素が、既知のヘテロクロマチン座位全てに存在することを示す。接合型領域において、RITSはDicer依存的にcenH(セントロメアの反復配列に高い相同性を有する)にまず集積し、その後約20kbのサイレンシングを受ける領域全体に広がる。このRITSの拡張と、その後の局在維持にはDicerは必須ではないが、Swi6を含むヘテロクロマチン構成要素が必要である。また我々の解析により、ヒストンH3のLys9部位のメチル化にRITSが結合し、その結果としてRNAiに関わるタンパク質群がヘテロクロマチンドメインの安定な構成要素としてシスに働くこが示唆される。このようにRITSおよびRNAi装置がクロマチン上で作用することで、転写産物の分解や siRNAの生産が効率的に行われ、ヘテロクロマチンの形成・維持が促進される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度