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レジオネラ属菌(Legionella pneumophila)ゲノムにおける宿主細胞機能の利用および高いゲノム可塑性の証拠

Nature Genetics 36, 11 doi: 10.1038/ng1447

在郷軍人病の原因細菌であるレジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)は、アメーバの細胞内奇生体として複製し、自由生活性微生物として環境に存在する。今回我々は、レジオネラ・ニューモフィラ・パリ(L.pneumophila Paris)(3,503,610 bp、3,077遺伝子。フランスで優性な固有株)およびランス(Lens)(3,345,687 bp、2,932遺伝子。フランスで疾患発生の主要な原因となる流行株)のゲノム完全配列を解析した。レジオネラ・ニューモフィラのゲノムは著しい可塑性を示す。つまり、3つの異なったプラスミドをもち、2株間で約13%の配列の相異がある。パリ株のみがタイプV分泌系をもっている。そして、そのLvhタイプIV分泌系は36kbの領域にコードされており、多コピーのプラスミド中で維持されるか、あるいは染色体に挿入されているかのどちらかである。遺伝的可動性はレジオネラ・ニューモフィラの万能性を高める可能性がある。多数の遺伝子は、病原菌に有利なように宿主細胞機能を調節すると予測される真核生物様のタンパク質やモチーフをコードしている。それゆえ、淡水アメーバと共進化し、ヒトのマクロファージで増殖する病原菌であるレジオネラ・ニューモフィラのゲノムは、その進化の過程と生活様式を反映している。

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