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BMPシグナル伝達はWnt‐β‐カテニンシグナル伝達の抑制を介して腸の幹細胞の自己複製を抑制する

Nature Genetics 36, 10 doi: 10.1038/ng1430

ヒトでは、BMPR1ASMAD4およびPTENにおける変異は、それぞれ若年性ポリポーシス症候群、若年性腸ポリポーシス、コーデン病の原因である。ポリポーシスの発生はこれらの疾患に共通する特徴で、BMP経路とPTEN経路の間には関連があることが示唆される。BMP経路とPTEN経路との結びつきを示すメカニズムや、若年性ポリポーシスに関連する病因は未解決である。今回我々は、マウスにおいてBmpr1aの条件付きでの不活化が、幹細胞および前駆細胞集団の増殖をともなう腸管上皮再生のホメオスタシスを妨げ、最終的に、ヒトの若年性ポリポーシス症候群に類似した腸ポリポーシスを引き起こすことを示す。我々は、BMPシグナル伝達がWntシグナル伝達を抑制して、幹細胞の自己複製を確実に均衡をとって制御していることを示す。メカニズムとしては、β‐カテニンの制御において、PTENがフォスファチジルイノシトール‐3キナーゼ‐Aktを介して、BMP経路とWnt経路の収束を仲介する。したがって、BMPシグナル伝達は腸の幹細胞の複製を制御し、その結果、陰窩の分裂とその後の陰窩数の増加を防いでいる可能性がある。

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