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Nature Video活用事例

キラウエアを監視する科学の目

Hawaii’s surprise volcanic eruption: Lessons from Kilauea 2018

In 2018, Hawaii's most active volcano took scientists by surprise. Lava started spewing out not from the summit, but 50km away on the lower slopes of the volcano. This unexpected eruption destroyed farmland, roads and over 700 homes. Since then, volcanologists have been piecing together the events that triggered it.

Using GPS trackers, high-speed cameras, chemical analysis and more, researchers have learnt what happens when volcanic craters collapse and how magma can move not just vertically but horizontally underneath a volcano. These insights help us to understand other similar volcanoes in Iceland, Italy and La Reunion. The hope is that next time Kilauea or one of these other volcanoes erupts, we will be better prepared.

Read more about the work here: https://www.nature.com/articles/s4146...

And read more about volcanic and other natural hazards: https://www.nature.com/collections/bd...

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その他の Nature Video

日本には各地に100を超える火山がある。それらの火山活動によって温泉が湧き出たり、噴火活動によって形成された特有な地形が観光地となったり、地熱発電によってエネルギーを取り出したりなどの恩恵を受けている。その一方で火山噴火による災害にも直面し、2014年に御嶽山(長野県・岐阜県)、1991年に雲仙岳(長崎県)の噴火では多数の人々が犠牲となった。大規模な噴火以外にも、桜島(鹿児島県)などは日常的に噴煙を上げ、火山性地震も発生している。

日本に火山が多いわけ

日本列島に火山が多いのは、日本がプレートの境界に存在するためだ。このことは地震が多発することとも関係している。日本周辺には4種類のプレートが存在しており、大陸を形成しているユーラシアプレートと北アメリカプレートの下に、海洋底を形成している太平洋プレートとフィリピン海プレートが潜り込んでいる。

大陸プレートと海洋プレートとの境界に形成された列島は「弧状列島」と呼ばれ、多くの火山を伴う。スンダ列島(インドネシア)やアリューシャン列島(アメリカ)なども、同様な弧状列島である。

潜り込むプレートや、その周辺のマントルを構成する岩石は、地下深いところで非常に大きな圧力を受けており、この状態で融けることはない。しかし、水が存在するとより低い温度でも岩石が融け、マグマがつくられる。海洋プレートには水が大量に含まれており、海洋プレートが潜り込んでいるところでは、地下100km程度までマグマ生成の条件が揃うため、このような場所には火山が多く存在している。

ハワイ島に火山ができるわけ

動画で紹介されているとおり、ハワイ島にも活発な火山が存在するが、これらの成因は日本の火山とは違っている。ハワイ島は海洋プレートの中心部に存在するため、上で述べたようなマグマの形成は起こらない。

プレートが運動することによって、地球内部のエネルギーが解放されているが、それだけでは十分でなく、マントルの深部から直接的にエネルギーを解放するしくみがある。下部マントルと外核の境界(地下2900km)あるいは上部マントルと下部マントルの境界(地下660km)から円柱状に上昇する流れ(プルーム)が存在すると考えられている。マグマがプレートを突き抜け、プルームが地表に到達している場所だ。このような地点をホットスポットと呼び、ハワイ島以外にもイエローストーン(アメリカ)など20カ所以上が知られている。

キラウエアの特徴

キラウエアは楯状火山に分類される火山だ。古代ギリシャなどで戦闘時に使われた盾を伏せたように、なだらかな傾斜の火山であるため、この名前がついた。楯状火山が形成されるということは、噴出するマグマの粘性が非常に小さいことを意味する。キラウエアはマグネシウムや鉄に富んだ成分をもち、灰色から黒っぽく見える玄武岩質のマグマを噴出する。

マグマの粘性が小さいことから、爆発的な噴火を起こすことは少ないが、噴火口から低地に向かって流れやすいため、わずかな地形の変化でもこれまでのマグマの流れる場所が変化する可能性がある。

2018年の噴火では、山頂の火口が崩壊したとき、地下水を含む火口壁がマグマに触れることで水蒸気爆発が生じた。水は水蒸気になると1600倍に体積が増加するため、激しい爆発的な現象を引き起こしてしまう。

映像で示されたとおり、地下のマグマの状況は変化し、前回の噴火とは様子が異なる場合があり、火山周辺の環境も変化するかもしれない。火山と共存する社会では、周辺が人の居住地になることもある。日本でも噴火の可能性のある火山の科学的なモニタリングが進められているが、自然災害に備える意識が私たちそれぞれに常に求められている。

学生との議論

Credit: Lisa-Blue/E+/Getty

プレートが移動するという考え方(プレートテクトニクス)によって、現在の地震や火山を説明することができる。果たして何が移動しているのだろうか。よく知られた分類に、地球は外側から、地殻・マントル・外核・内核で構成されているという考え方があり、これらはそれぞれの物質やその組成の違いによる、化学的な分類である。

一方で、地殻とマントルの領域を力学的に分類することができる。この分類では、地殻とマントルで最も硬い最上部マントルであるリソスフェアと、その下の粘性が低く流動性の高いアセノスフェア、さらにその下に位置する流動性の低いメソスフェアに分けられる。この考え方でプレートの運動をうまく説明することができ、プレートはリソスフェアのことであり、プレートはアセノスフェアの上を滑っているとイメージできる。

近年の研究によれば、マグマはアセノスフェアで動きやすく効率的に上昇し、硬いリソスフェアに突き当たると上昇速度が抑えられ、アセノスフェアとリソスフェアの間にマグマが溜まることが明らかになっている。

学生からのコメント

横須賀 匠

日本の火山噴火は、噴出物が壊滅的な被害を引き起こす事例がある。ハワイの現地ではマグマの写真を見て、ゆっくりと傾斜に沿って流れることを知った。「なぜ日本とハワイの火山で異なる現象が起きるのか」という疑問を持っていたが、その答えを知ることができ興味深かった。(横須賀 匠)

内冨 椋介

プレートの境界にある島国の日本では火山や地震、津波などの災害に直面することが多いと分かっている以上、常にこういった自然災害への備えを怠らず、ハザードマップを随時更新していくなど、対策へのアップデートを頻繁に行う必要があると実感した。(内冨 椋介)

Nature ダイジェスト で詳しく読む

火山噴火の明確な前兆現象
  • Nature ダイジェスト Vol. 10 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2013.130223

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Nature ダイジェストISSN 2424-0702 (online) ISSN 2189-7778 (print)