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ニューロンの炎症が記憶を持続させる

記憶はどのように持続するのか? スペインのシュールレアリスト、サルバドール・ダリは、有名な作品『記憶の固執』の中でこの問いについて思い巡らし、『記憶の固執の崩壊』の中で記憶喪失の悲劇的な結末について探究した。世界的に人口が高齢化し、アルツハイマー病や関連するタイプの認知症の診断が増えるにつれ、神経科学者は記憶を持続させる機構に注目するようになっている。しかし、わずか数秒で符号化された短い経験を、生涯にわたって何度も再生できる仕組みは、依然として謎である。このほどノースウェスタン大学ファインバーグ医学系大学院(米国イリノイ州シカゴ)のVladimir Jovasevic、およびアルバート・アインシュタイン医科大学(米国ニューヨーク州)のElizabeth M. WoodとAna Cicvaricら1は、記憶に不可欠な分子機構と新たなニューロン集団の特徴について明らかにして、このパズルに重要なピースをはめ込んだ。成果は、Nature 2024年4月4日号145ページに報告された。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 7

DOI: 10.1038/ndigest.2024.240749

原文

Innate immunity in neurons makes memories persist
  • Nature (2024-04-04) | DOI: 10.1038/d41586-024-00679-4
  • Benjamin A. Kelvington & Ted Abel
  • 共にアイオワ大学カーバー医科大学(米国)に所属。

参考文献

  1. Jovasevic, V. et al. Nature 628, 145–153 (2024).
  2. Scoville, W. B. & Milner, B. J. Neurol. Neurosurg. Psychiatry 20, 11–21 (1957).
  3. Josselyn, S. A. & Tonegawa, S. Science 367, eaaw4325 (2020).
  4. Hemmi, H. et al. Nature 408, 740–745 (2000).
  5. Madabhushi, R. et al. Cell 161, 1592–1605 (2015).
  6. Wang, A. G., Son, M., Kenna, E., Thom, N. & Tay, S. Cell Rep. 40, 111159 (2022).
  7. Jovasevic, V. et al. iScience 24, 102617 (2021).
  8. Han, J. H. et al. Science 316, 457–460 (2007).
  9. Lodato, M. A. et al. Science 350, 94–98 (2015).
  10. Maatouk, L. et al. Nature Commun. 9, 2450 (2018).