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子殺しの罪で服役中の女性に「科学の声」がもたらした恩赦

2019年の審問でのキャスリーン・フォルビッグ氏。 Credit: Joel Carrett/AAP Image via Alamy

オーストラリアでの裁判所審問で1人の独立科学顧問が提出した証拠により、20年前から服役している女性が恩赦を受けて釈放された。研究者や法律の専門家は、この科学顧問が果たした役割を称賛している。キャスリーン・フォルビッグ(Kathleen Folbigg)氏は、幼い息子2人と娘2人を1989〜1999年に相次いで亡くした。当初はいずれも自然死とみられていたが、彼女はその後、子どもたちを窒息させて殺害した疑いで2001年に逮捕・起訴された。フォルビッグ氏が子どもたちの殺害に関与した法医学的証拠はなく、彼女自身も一貫して無実を訴えていたが、4人の子どもが相次いで死亡する確率の低さや罪悪感を吐露する彼女の日記を根拠に有罪判決が下され、2003年から服役していた。このほど審問で「フォルビッグ氏が裁判にかけられたそれぞれの犯罪につき、有罪とすることには合理的な疑いがある」という結論が出たことで、彼女は2023年6月5日に釈放された。審問に関わった科学者たちは今、オーストラリアには新たに登場した科学的証拠を提出するための正式な手続きが必要だとして、法改正を求めている。

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翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 9

DOI: 10.1038/ndigest.2023.230919

原文

‘Science was heard’: woman who was convicted of killing her children pardoned after inquiry
  • Nature (2023-06-06) | DOI: 10.1038/d41586-023-01871-8
  • Dyani Lewis