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オウムアムアの不可解な動きを説明できる現実的なモデル

小惑星は地球に衝突して脅威をもたらす可能性がある。この考えが、数メートルから数キロメートルまでという、幅広いサイズの小惑星や彗星を発見するのに特化した望遠鏡の開発を促進した1。こうした望遠鏡では、地球への脅威とはならないものの、科学的に非常に興味深い天体が検出されることも少なくない。2017年10月に初めて発見された、太陽系外からの飛来天体(恒星間天体)は、その一例である2(2018年1月号「太陽系外からの初めての使者」参照)。「オウムアムア(‘Oumuamua)」として知られるこの小天体は、見た目も動きも多くの点で他の天体とは異なり、これまで天文学者たちの頭を悩ませてきた3。しかし今回、カリフォルニア大学バークレー校(米国)のJennifer Bergnerとコーネル大学(米国ニューヨーク州イサカ)のDarryl Seligman4は、エキゾチックな機構や非物理的な機構に頼ることなく、観測されたオウムアムアの特徴の大半を説明することのできるモデルを見いだし、Nature 2023年3月23日号610ページで報告した。

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翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 20 No. 6

DOI: 10.1038/ndigest.2023.230636

原文

A compelling explanation for an enigmatic object
  • Nature (2023-03-23) | DOI: 10.1038/d41586-023-00797-5
  • Marco Micheli
  • ESA PDO NEO調整センター(イタリア)に所属

参考文献

  1. Jedicke, R., Granvik, M., Micheli, M., Ryan, E., Spahr, T. & Yeomans, D. K. in Asteroids IV (eds Michel, P., DeMeo, F. E. & Bottke, W. F.) 795–813 (Univ. Arizona Press, 2015).
  2. Meech, K. J. et al. Nature 552, 378–381 (2017).
  3. Micheli, M. et al. Nature 559, 223–226 (2018).
  4. Bergner, J. B. & Seligman, D. Z. Nature 615, 610–613 (2023).
  5. Jewitt, D. & Seligman, D. Z. Preprint at https://arxiv.org/abs/2209.08182 (2022).