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家禽類の祖先が示す現生鳥類の初期進化

アステリオルニス・マーストリヒテンシスの想像図
アステリオルニスは体重が約400gと小型で、海辺に生息していたと考えられる(背景で砂浜に打ち上げられているのは海生爬虫類モササウルスの死骸)。 Credit: Phillip Krzeminski

現生の鳥類は、種数が約1万種と素晴らしく多様で、その魅力は尽きない。では、そうした鳥類はいつ出現したのか。その答えは、鳥類をどのように定義するか、化石記録の中でどの種を系統樹の最も基部に位置付けるか、そして鳥類進化に関する古生物学的・遺伝学的な空白をどう説明するかによって変わってくる。今回、ケンブリッジ大学(英国)の進化古生物学者Daniel J. Fieldらによって、ベルギーの6680万〜6670万年前(後期白亜紀マーストリヒチアン期)の地層から、家禽類の祖先ともいえる独特な特徴を持つ新たな化石鳥類のほぼ完全な頭蓋が発見され、Nature 2020年3月19日号397ページで報告された1。この年代は、現生鳥類が出現した時期としてはこれまで知られている中で最も古く、現生鳥類の初期進化における重要な空白を埋める貴重な手掛かりをもたらすとともに、鳥類の多様化のタイミングを推定する遺伝学的な手法に対して有用な制約を与えるものである。

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 6

DOI: 10.1038/ndigest.2020.200641

原文

Poultry through time
  • Nature (2020-03-19) | DOI: 10.1038/d41586-020-00766-2
  • Kevin Padian
  • Kevin Padianは、カリフォルニア大学バークレー校(米国)に所属。

参考文献

  1. Field, D. J., Benito, J., Chen, A., Jagt, J. W. M. & Ksepka, D. T. Nature 579, 397–401 (2020).
  2. Padian, K. & de Ricqles, A. C.R. Palevol 8, 257–280 (2009).
  3. Budd, G. E. & Mann, R. P. Sci. Adv. 6, eaaz1626 (2020).
  4. Chiappe, L. M. & Witmer, L. M. (eds) Mesozoic Birds: Above the Heads of Dinosaurs (Univ. California Press, 2002).
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