Editorial

データジャーナル Scientific Data 創刊

Nature ダイジェスト Vol. 11 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2014.140230

原文:Nature (2013-10-09) | doi: 10.1038/502142a | Launch of an online data journal

2014年5月、データセットに光を当て、その再利用の促進を目指すオープンアクセスジャーナル、Scientific Data を創刊。

データセットが広く再利用されるためには、研究データがどのように生成され、また、どのような品質管理実験が行われたかが分かるように保管されている必要があります。そのために詳しい情報を記述する作業は大変な労力を要するにもかかわらず、見返りは十分ではありません。その結果、貴重なデータセットとなり得る情報が公表されない、あるいは、部分的にしか一般公開されない、また、一般公開されていても詳細な記述がないために再利用できないのが現状です。研究データをもっと有効に利用するための方法、データの生成と共有に尽力した研究者の功績を明示するための優れた方法を、誰もが待ち望んでいました。

こうしたニーズに応えるため、ネイチャー・パブリッシング・グループは、2014年5月に、データセットの詳細な内容を発表するためのオンライン限定のオープンアクセスジャーナル、Scientific Data を創刊します。

本誌は査読付き科学出版物で、主要なインデックスサービスに索引登録されます。自らのデータの共有化を図ることが可能な上、データが再利用されることで著者の功績が相応に認められるのです。

このジャーナルで受け付ける論文の形式は“Data Descriptor”と呼びます。これは、科学的に貴重なデータセットの共有と再利用が促進されるようにデータを詳細に記述するためのものです。

本誌上での公表は全て、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスに準拠して行われ、“Data Descriptor”論文の内容の再利用、再配布と改変を認めています。

“Data Descriptor”論文のセクションには、データの質を記載する‘Technical Validation’と、データの再利用に関する助言を記載する‘Usage Notes’があります。またMethodsセクションに文字数制限はありません。

“Data Descriptor”論文には、関連するジャーナル掲載論文とデータリポジトリに保管されたデータファイルとのリンクが設定され、読者が研究論文、データに関する記述と実際のデータとの間のナビゲーションを容易に進められるようになっています。それぞれの“Data Descriptor”論文には、コンピューターで読み取れる実験メタデータが付いており、本誌コンテンツのマイニング(網羅的分析による情報抽出)や検索を行う際に役立ちます。メタデータは、アノテーション(注釈付け)の一貫性と有用性を図るため、弊社スタッフがキュレーション(注釈付けの確認)を行い、ISA-Tab形式で公表されます(Nature Genetics 2012年2月号121〜126ページ参照)。

査読者は、データ収集手順の技術的厳密性、データの完全性、そして、研究コミュニティーの基準との適合性に重点を置いて査読を行います。また、査読者がデータに共有の価値があるかどうかを評価する際に、査読対象のデータセットに関連する知見のインパクト(影響度)や新規性に依拠することはありません。

Scientific Data は、新しいデータリポジトリではありません。むしろ、研究コミュニティーに根付いている既存のリポジトリを振興し、提携を進めてデータの断片化を防ぎ、それぞれのデータセットが適切なリポジトリに確実に寄託されることを目指しています。そのため本誌は、リポジトリであるfigshareとDryadと提携しています。すでにfigshareでの統合データアップロードが利用でき、“Data Descriptor”論文を投稿する際にデータの寄託が可能です。また、編集者と査読者がデータファイルにアクセスするときはfigshareを経由するため、著者は投稿後もデータファイルを安全かつ秘密裏に保つことができます。なおデータは論文出版時に一般公開になります。

Scientific Data は、新しい結論を発表したり、仮説に基づく解析結果を発表したりするための場ではありません。そのため、本誌の対象範囲を超える記述に対して、編集者が著者に削除を求める場合があります。これは、“Data Descriptor”論文が一次研究論文と併存し、それを補完する関係を維持するためです。著者は、他の出版物で使用されていないデータセットに関して、独立した“Data Descriptor”論文として発表可能です。また、過去に他誌で発表していても、より詳細な記述を行う価値が認められれば、発表可能です。

また本誌で発表した後、そのデータに関する論文を Nature およびその関連誌で発表することも可能です。ただし、本誌で扱われたデータの記述的分析を超え、重要な科学的知見を有していると認められた場合に限ります。

Scientific Data の対象は当面、生命科学、生物医学、環境科学だけの予定です。

(翻訳:菊川要、要約:編集部)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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