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バーコード化sgRNAを利用した塩基エディタースクリーニングによる遺伝子機能のゲノム規模解析

Nature Biotechnology 39, 11 doi: 10.1038/s41587-021-00944-1

標準的なCRISPRノックアウト(KO)スクリーニングでは、Cas9が誘導するDNA二本鎖切断(DSB)によって遺伝子の選択的なKOが行われる。こうした方法論では、特に高コピー数の部位を標的とする場合、DSBに関連する作用を誤って遺伝子の変化そのものの結果と捉えることが多いために、正しい結果が得られない場合がある。本論文では、DSBに依存しないゲノム規模のCRISPRスクリーニング法であるBARBEKO(iBARed cytosine base editing-mediated gene KO)を紹介する。この方法は、遺伝子の開始コドンやスプライス部位を変化させたり、未成熟終止コドンを導入したりすることにより、CRISPRシトシン塩基エディターをゲノム規模のKOスクリーニングに利用するものである。さらに、これには、我々がスクリーニングの質と効率を改善するために考案したiBARという戦略が組み込まれている。高い多重感染度(最大10倍)のレンチウイルス感染によってそのような細胞ライブラリーを構築することにより、かなり少ない初発細胞から効率的で正確なスクリーニング結果が得られた。さらに重要なことに、Cas9を介した適応度スクリーニングと比較して、HeLa細胞、K562細胞、またはDSB感受性網膜色素上皮1細胞でのBARBEKOスクリーニングは、DNA切断が誘発する細胞毒性の影響を受けなくなっていた。BARBEKOは、既存のCRISPR–KOスクリーニングをさまざまな状況で補完する有用なツールとなることが期待される。

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