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マルチパーティー計算を用いた安全なゲノム規模関連解析

Nature Biotechnology 36, 6 doi: 10.1038/nbt.4108

塩基配列解読済みのゲノムは現在、概してアクセスが厳しく制限されたリポジトリに保存されている。このようなデータに自由にアクセスすることができれば、ゲノム規模関連解析(GWAS)の検出力が高まって、疾患を引き起こす遺伝子バリアントを同定したり、新たな薬物標的の発見の助けとなったりする可能性がある。しかし、遺伝子データのプライバシーをめぐる懸念は、個人が科学研究にゲノムを提供することをためらわせている可能性があり、また研究者が科学コミュニティーとデータを共有することを妨げている恐れがある。データ解析を安全に行うための暗号化技術は存在するものの、GWASなどのコンピューター集約的な解析の規模に対応するものはない。本論文では、大規模な全ゲノム解析のためのプロトコルについて紹介する。このプロトコルでは、含んでいる遺伝子型や表現型の秘匿性を保ちながら、9000人、1万3000人、2万3000人の品質管理および集団層別化の補正ができる。我々は、このプロトコルが実際的には100万人規模まで拡大可能であることを示す。こうした手法によって、現在は制限されているデータを科学コミュニティーが利用できるようになると思われ、また、ゲノムの安全なクラウドソーシングが実現する可能性があり、これによって個人はプライバシーを損なうことなく自分のゲノムを研究に提供できるようになるだろう。

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