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新しい抗腫瘍薬の標的としてのスプライソソーム

Nature Reviews Drug Discovery 11, 11 doi: 10.1038/nrd3823

いくつかの細菌由来発酵産物およびそれらの合成誘導体は、抗腫瘍活性を示し、真核細胞においてmRNA前駆体からイントロンを除去するのにかかわるスプライソソームという複雑な分子装置の構成成分に強く結合する。このような薬剤は、がんの進行に重要な遺伝子群の、選択的スプライシングを含めた遺伝子発現を変化させる。最近の数々の報告から、薬剤標的であるスプライシング因子3Bサブユニット1(splicing factor 3B subunit 1, SF3B1)を含めたスプライシング因子をコードする遺伝子群が、慢性リンパ性白血病や骨髄異形成症候群などのさまざまな血液系腫瘍で最も高頻度に変異が見られることが明らかになっている。こうした観察結果は、がんの進行におけるスプライシング因子の役割に光を当てるとともに、これらのタンパク質を標的とする薬剤が分子に及ぼす効果を理解すれば、スプライソソームおよびそれががんの進行過程で果たす役割の研究、そして、新しい抗腫瘍療法の開発に向けた新たな展望が開けることを示唆している。

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