Research press release

皮膚の色素沈着と皮膚癌の遺伝的関連

Nature Genetics

Genetic links between pigmentation and skin cancer

皮膚癌の発症リスクを高める遺伝的多型が同定され、皮膚癌と皮膚の色素沈着の関係について新たな知見がもたらされたことが、Nature Genetics(電子版)に今週掲載される3編の論文で報告される。

deCODE Genetics社(アイスランド・レイキャビク)のDaniel Gudbjartssonらの研究チームは、最近、毛髪と目、皮膚の色素沈着と関連する塩基配列多型を同定したが、今回は、この研究をさらに進めて、そのうちの11種が皮膚癌に対する感受性と関連していないかどうかを調べた。その結果、ASIP遺伝子(色素沈着において役割を果たすことに関して多数の研究報告がある)近傍に位置する複数の多型が、皮膚黒色腫のリスクを高めることが判明した。皮膚黒色腫は、皮膚の色素産生細胞のアグレッシブな悪性腫瘍で、皮膚癌関連の死亡例の大部分は、皮膚黒色腫が原因となっている。また、この研究チームは、皮膚色素メラニンの産生に必要な酵素をコードするTYR遺伝子の1つの多型についても関連性を報告している。さらに、ASIP遺伝子とTYR遺伝子は、より広く見られるものの致死性の低い皮膚癌の一種である基底細胞癌とも関連していることが確認された。

別の独立した研究では、クイーンズランド医学研究所(オーストラリア・ブリスベン)のStuart MacGregorらの研究チームが、ASIP遺伝子を含む領域内の2つの多型が皮膚黒色腫のリスクとも関連していることを見出した。そして第3のGudbjartssonらの研究では、カルシウム輸送体をコードするTPCN2遺伝子の2つの多型が、ブロンドの髪と褐色の髪の関係と関連していることを報告している。このカルシウム輸送体は、色素沈着に影響するカルシウム輸送体として3番目に発見されたもので、このタンパク質のファミリーが重要な役割を果たしていることが示唆されている。

Scientists have identified genetic variants that increase the risk of getting skin cancer, and provide new insight into the relationship between skin cancer and pigmentation, according to three studies published online this week in Nature Genetics.

Daniel Gudbjartsson and colleagues followed up on their recent identification of sequence variants associated with hair, eye, and skin pigmentation, and tested 11 of these for association with susceptibility to skin cancer. They found variants near ASIP, a gene with a well documented role in pigmentation, to confer increased risk of cutaneous melanoma―an aggressive, malignant tumour of the skin’s pigment-producing cells that causes the majority of deaths related to skin cancer. They also report an association of a variant in the gene TYR, which encodes an enzyme required for the production of the skin pigment melanin. Each gene was also associated with the more common but less deadly form of skin cancer, basal cell carcinoma.

In an independent study, Stuart MacGregor and colleagues identified two variants in the region containing ASIP to be associated with risk of cutaneous melanoma as well. Finally, in a third study, Gudbjartsson and colleagues report two variants in the gene TPCN2, encoding a calcium transporter, to be associated with blond versus brown hair. This is the third calcium transporter found to influence pigmentation, suggesting an important role for this family of proteins.

皮膚癌の発症リスクを高める遺伝的多型が同定され、皮膚癌と皮膚の色素沈着の関係について新たな知見がもたらされたことが、Nature Genetics(電子版)に今週掲載される3編の論文で報告される。

deCODE Genetics社(アイスランド・レイキャビク)のDaniel Gudbjartssonらの研究チームは、最近、毛髪と目、皮膚の色素沈着と関連する塩基配列多型を同定したが、今回は、この研究をさらに進めて、そのうちの11種が皮膚癌に対する感受性と関連していないかどうかを調べた。その結果、ASIP遺伝子(色素沈着において役割を果たすことに関して多数の研究報告がある)近傍に位置する複数の多型が、皮膚黒色腫のリスクを高めることが判明した。皮膚黒色腫は、皮膚の色素産生細胞のアグレッシブな悪性腫瘍で、皮膚癌関連の死亡例の大部分は、皮膚黒色腫が原因となっている。また、この研究チームは、皮膚色素メラニンの産生に必要な酵素をコードするTYR遺伝子の1つの多型についても関連性を報告している。さらに、ASIP遺伝子とTYR遺伝子は、より広く見られるものの致死性の低い皮膚癌の一種である基底細胞癌とも関連していることが確認された。

別の独立した研究では、クイーンズランド医学研究所(オーストラリア・ブリスベン)のStuart MacGregorらの研究チームが、ASIP遺伝子を含む領域内の2つの多型が皮膚黒色腫のリスクとも関連していることを見出した。そして第3のGudbjartssonらの研究では、カルシウム輸送体をコードするTPCN2遺伝子の2つの多型が、ブロンドの髪と褐色の髪の関係と関連していることを報告している。このカルシウム輸送体は、色素沈着に影響するカルシウム輸送体として3番目に発見されたもので、このタンパク質のファミリーが重要な役割を果たしていることが示唆されている。

doi: 10.1038/ng.160

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