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糖尿病:妊娠糖尿病と2型糖尿病の遺伝学的構造における相違点と共通点

Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-023-01607-4

妊娠糖尿病(GDM)は、世界中で年間1600万例以上の妊娠に影響を及ぼすありふれた代謝疾患である。GDMは2型糖尿病(T2D)の生涯リスク上昇と関連しており、GDMと診断された女性の3分の1以上が、診断から15年以内にT2Dを発症する。これらの疾患には、共通する遺伝的素因があると考えられているが、GDMの遺伝的基盤の解明を試みた研究はほとんどない。ほとんどの研究では、T2D座位の影響しか評価しておらず、また以前に行われた3つのGDMゲノムワイド関連解析では、5つの座位しか見つかっていないため、バリアントや生物学的経路がどの程度GDMに特異的なのかを評価する検出力は限られている。今回我々は、FinnGen研究において、1万2332の症例と13万1109の経産婦対照例を対象に、これまでで最大のGDMゲノムワイド関連解析を行い、13のGDM関連座位(そのうち9つが新規の座位)を特定した。T2Dとは異なる遺伝的特徴が、座位レベルとゲノムレベルの両方で明らかになった。我々の結果は、GDMリスクの遺伝学的特徴は、異なる2つのカテゴリーに分類されることを示唆しており、1つは従来のT2D多遺伝子リスク、もう1つは妊娠中に乱される機構に主に影響を及ぼすものである。GDMに主に影響する座位は、膵島細胞、中枢のグルコース恒常性、ステロイド産生、および胎盤での発現に関連する遺伝子にマッピングされた。

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