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クロマチン制御:BAFクロマチンリモデリング因子は、RNAポリメラーゼIIや転写因子と相乗的に作用してヌクレオソームを除去する

Nature Genetics 56, 1 doi: 10.1038/s41588-023-01603-8

クロマチン接近可能性は、活発な転写の特徴であり、BAF(Brahma-associated factor)などの複合体によって行われるATP依存性ヌクレオソームリモデリングを伴う。しかし、転写、ヌクレオソームリモデリング、クロマチン接近可能性の間の機構的な結び付きは分かっていない。本論文では、化学遺伝学的手法と時間分解されたクロマチンプロファイリングを組み合わせて用い、マウス胚性幹細胞においてRNAポリメラーゼII(RNAPII)、BAF、DNA塩基配列特異的転写因子の間の相互作用を調べた。その結果、BAFは接近可能なクロマチン領域におけるヌクレオソームのほどきと除去を動的に行う一方、RNAPIIのプロモーター近位での停止によって、BAFによるクロマチン占有が安定化され、BAFによるATP依存性ヌクレオソーム除去が高まることが分かった。RNAPIIとBAFは、転写活性のあるゲノム領域とポリコームに抑制されたゲノム領域の両方の探索を動的に行うが、多能性転写因子のクロマチン結合により、BAFによる生産的クロマチンリモデリングおよびヌクレオソーム除去に座位特異性が生じることが分かった。我々の研究は、動的に作用するクロマチン因子間の機能的相乗効果が、座位特異的なヌクレオソーム構成とクロマチン接近可能性を調節する仕組みについての新たなパラダイムを示唆している。

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