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てんかん:てんかん患者2万9000人以上を対象としたGWASメタ解析により、26のリスク座位と病型特異的な遺伝的構造が同定された

Nature Genetics 55, 9 doi: 10.1038/s41588-023-01485-w

てんかんは高い遺伝性を示す疾患の1つである。世界中で5000万人以上が罹患しており、そのおよそ3分の1は現在の治療に抵抗性である。本論文では、複数の祖先系集団に属する2万9944例の症例と5万2538例の対照について実施したゲノムワイド関連解析を報告する。てんかん症例は3つの大分類および7つの小分類に層別化した。ゲノムワイドで有意な26の関連座位が同定され、そのうち19は素因性全般てんかん(GGE)に特異的であった。これら26座位から29の原因遺伝子候補が示された。SNPベースの遺伝率を算出したところ、GGEおよびその亜型の遺伝的リスクの39.6~90%をコモンバリアントで説明できることが分かった。亜型別解析の結果、焦点てんかんと全般てんかんでは遺伝的構造が大きく異なっていることが明らかになった。GGEシグナルの遺伝子セット解析では、脳の興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの両方におけるシナプスに関与していることが示唆された。重要な候補遺伝子は、単一遺伝子てんかんの原因遺伝子や、現在の抗てんかん薬の標的と重複している。最終的に、我々の結果は、てんかん治療に利用されれば、有効性が予見される代替薬の特定に拡大応用される。

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