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喫煙:CHRNB2をコードするまれなバリアントが喫煙者となる可能性を減少させる

Nature Genetics 55, 7 doi: 10.1038/s41588-023-01417-8

喫煙行動に関する人類遺伝学的研究は、これまでのところ、主にありふれたバリアントに限定されてきた。コード配列のまれなバリアントの研究が進めば、創薬標的の特定につながる可能性がある。本研究では、74万9459人を対象に喫煙表現型に関するエキソーム規模の関連解析を実施し、α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体のβ2サブユニットをコードするCHRNB2に防御的な関連を検出した。CHRNB2のまれなバリアントのうち、機能喪失が予測されるバリアントとおそらく有害なミスセンスバリアントは全体で、重度喫煙のオッズの35%低下と関連していた(オッズ比〔OR〕= 0.65、信頼区間(CI)= 0.56~0.76、P = 1.9 × 10−8)。独立したありふれたバリアントの防御的な方向での関連(rs2072659、OR = 0.96、CI = 0.94~0.98、P = 5.3 × 10−6)も明確であり、一連の対立遺伝子の存在が示唆された。マウスにおいてβ2サブユニットの欠損がニコチンに対する神経細胞の応答を消失させ、ニコチン自己投与の頻度を減少させることは数十年前の実験で既に観察されているが、今回の発見はその知見とも整合している。本研究での遺伝学的発見は将来的に、脳のCHRNB2を標的とする薬物を、ニコチン嗜癖の治療薬として開発する際のヒントになるだろう。

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