Technical Report

免疫:自然免疫応答の遺伝的多様性を一細胞分解能で理解する

Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01421-y

ヒトのありふれた遺伝的バリアントは、病原体に対する細胞応答を変化させることでさまざまな免疫病態に関与しているが、感染下における免疫応答をどのように変化させるかはよく理解されていない。そこで本論文では、68人の健常者由来のヒト繊維芽細胞において抗ウイルス反応を引き起こし、数万に及ぶ細胞について一細胞RNA塩基配列解析技術を用いて遺伝子発現の定量化を行った。さらに、動的な細胞状態における非線形な遺伝的関連を特定するための統計手法GASPACHO(GAuSsian Processes for Association mapping leveraging Cell HeterOgeneity)を開発することで、自然免疫応答に沿って発現量が変化する1275の発現量・量的形質座位を特定した(局所的FDR〔false discovery rate〕10%)。この多くは、感染症や自己免疫疾患のゲノムワイド関連解析によって発見された感受性座位と共局在化しており、例えば、OAS1のスプライシングに関与する量的形質座位と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感受性座位の間に共局在化が見られた。このように、我々の解析手法は、細胞のさまざまな環境下における遺伝子発現の遺伝的多様性を一細胞分解能で明らかにすることができる。

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