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コムギ:コムギ黒さび病抵抗性遺伝子Sr43は特殊なプロテインキナーゼをコードしている

Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01402-1

パンコムギを病害虫から保護するため、育種家は200以上の抵抗性遺伝子をパンコムギのゲノムに導入してきた。その結果、コムギの遺伝子プールにおける抵抗性遺伝子の数は2倍近くに増えている。これらの遺伝子を単離することにより、育種プログラムにおける抵抗性遺伝子の迅速な追跡が可能となり、また単離した遺伝子を、抵抗性に関わる多遺伝子性の遺伝子の1つとして作物に追加導入することにより、より耐久性のある抵抗性を付与することができる。我々は、交配によって野生イネ科植物Thinopyrum elongatumからパンコムギに導入されていた黒さび病抵抗性遺伝子Sr43をクローニングした。Sr43は、活性のあるプロテインキナーゼに機能不明の2つのドメインが融合したタンパク質をコードしていることが分かった。この遺伝子はコムギ連(Triticeae)特異的に存在し、670~1160万年前に遺伝子融合イベントによって生じたものと推定された。コムギにSr43を導入して発現させたところ、黒さび病を引き起こす広範な病原体分離株に対し高い抵抗性を示し、抵抗性の付与を目的とした育種や遺伝子操作においてSr43が有用であることが明らかとなった。

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