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神経芽腫:高リスク神経芽腫で転移が進むときのクローン進化

Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01395-x

高リスク神経芽腫患者では、一般に広範な転移性腫瘍が見られ、集中的な治療にもかかわらず再発することが多い。これまでのところ、ほとんどの研究では診断と再発を1組にして捉えていたため、転移の進行やがんのプログレッションにおける遺伝的動態とクローン動態についての理解は限られている。本研究では、位置的に離れた部位の試料を283人の患者から連続的に採取し、その470の試料のゲノムプロファイリングを行って、診断時からプログレッション、転移した末期がんの時期にわたって、サブタイプ特異的な遺伝的進化の軌跡を調べた。クローン追跡法により、がんのイニシエーション時期を胚発生までさかのぼった。その結果、このがんを定義付ける座位(MYCNTERTMDM2-CDK4)での構造バリアントの連続的な獲得の後、共通経路を標的とした変異の収斂進化が起こることが、プログレッションの主要な特徴であることが明らかになった。転移性クローンは、診断時には既に離れた部位に確立されており、そこで休眠状態を維持することができ、最終的に数年後に再発して、転移巣から転移巣への多クローン性の播種が起こるという、治療後の拡散が引き起こされる。

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