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祖先系集団:アフリカ系米国人、プエルトリコ人、メキシコ系米国人の遺伝子発現の解析により祖先系集団特異的な遺伝的構造のパターンを解明する

Nature Genetics 55, 6 doi: 10.1038/s41588-023-01377-z

アフリカ系米国人、プエルトリコ人、メキシコ系米国人を合計した2733人の全ゲノム塩基配列およびRNA塩基配列のデータを用いて、全血中の遺伝子発現を調べ、その遺伝的構造が祖先系ごとにどのように異なっているかを検討した。その結果、ヘテロ接合性と遺伝的分散の関係を反映して、遺伝子発現の遺伝率はアフリカ系の割合が高いほど有意に増加し、アメリカ先住民系の割合が高いほど減少することが分かった。継承されるタンパク質コード遺伝子のうち、祖先系集団特異的な発現量的形質座位(anc-eQTL)の割合は、アフリカ系由来のゲノム断片では30%、アメリカ先住民由来の断片では8%であった。anc-eQTLのほとんど(89%)は、集団間に認められる対立遺伝子頻度の差に由来するものだった。複数の祖先系集団の要約統計量を使った28の形質に関するトランスクリプトーム規模の関連解析では、複数祖先系集団で訓練した我々のトランスクリプトーム予測モデルを用いた場合、Genotype-Tissue Expressionプロジェクトのデータを用いて訓練したモデルと比較して、79%多くの遺伝子–形質の関連を特定することができた。本研究は、新しい発見を可能にし、祖先系集団間の格差を減らすためには、大規模かつ多様な祖先を持つ集団を対象に遺伝子発現を測定するのが重要であることを強調している。

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