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COVID-19:一細胞解析と宿主遺伝学からCOVID-19の重症度に関わる自然免疫細胞の役割が明らかになる

Nature Genetics 55, 5 doi: 10.1038/s41588-023-01375-1

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の際の免疫応答不全の基盤となる機構はよく分かっていない。本論文では、日本人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者73人と健常対照者75人の89万5000を超える末梢血単核細胞について、一細胞トランスクリプトーム解析と、一細胞T細胞受容体(TCR)およびB細胞受容体(BCR)解析を行い、さらにこれに宿主遺伝学的データを合わせて解析した。COVID-19患者では、nonclassical monocytes(ncMono)の割合が低かった。COVID-19ではclassical monocytesからncMonoへの移行が減少しており、重症COVID-19ではncMonoでのCXCL10発現が低下していることが分かった。細胞間相互作用解析から、重症COVID-19ではncMonoが関与する細胞間相互作用が減少していると推測された。患者の形質芽球ではBCRのクローン拡大が顕著に見られた。COVID-19のゲノムワイド関連解析で明らかになった推定の疾患遺伝子群は、単球および樹状細胞において細胞種特異的な発現をしていることが分かった。IFNAR2座位のCOVID-19関連リスクバリアント(rs13050728)は、環境下特異的および単球特異的な発現量的形質座位効果を有していた。我々の研究は、COVID-19の重症度に自然免疫細胞の生物学的および宿主遺伝的な関与があることを明らかにしている。

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