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脳モザイク:減数分裂エラーの接合体形成後の救済が脳モザイクと焦点てんかんを引き起こす

Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01547-z

体細胞モザイクは、発生中の脳の形成異常やてんかんなど、神経学的疾患の原因であることが知られている。脳モザイクは従来、胎児の発生過程で生じる、接合体形成後の遺伝的変化に起因するとされる。本論文では、染色体1qのコピー数増加がモザイクで存在する焦点てんかん患者において、従来とは異なる脳モザイクの起源として、接合体形成後に減数分裂エラーが救済される症例について報告する。脳組織切片のゲノム解析から、親由来の余分な染色体1q対立遺伝子の存在が6人の患者のうちの5人で見つかった。このコピー数の増加は、患者の脳組織においてのみ観察され、血液細胞や口腔細胞では観察されず、また脳組織ではアストロサイトにおいて非常に豊富に見られた。染色体1q増加が見られるアストロサイトは、遺伝子発現シグネチャーが変化しており、ヒアリン封入体の存在が見られることから、てんかんにおけるアストロサイト封入体との新たな遺伝的関連が示唆される。さらにこれらのデータから、親由来のコピー数増加が脳に隔離されていること、すなわち、他の組織では発生過程でそれが救済されていることを意味しており、従来とは異なる脳の染色体モザイクの機構があることを実証している。

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