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妊娠:胎盤重量のゲノムワイド関連研究から、胎盤の成長と胎児の発育に対する遺伝的影響の相違点と共通点が明らかになる

Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01520-w

胎盤が良好に機能していることは、妊娠中の胎児と母体の健康に不可欠である。胎盤重量を胎盤成長の代理指標として用い、胎児(n = 6万5405)、母親(n = 6万1228)、父親(n = 5万2392)のゲノムでゲノムワイド関連解析を行い、40の独立した関連シグナルを特定したことを報告する。シグナルを分類すると、26は胎児特異的効果、4つは母親特異的効果、3つは胎児と母親の両方への効果を示すシグナルであった。母親由来の片親起源効果がKCNQ1の近傍に見られた。遺伝的相関解析および共局在解析から、胎盤重量が出生体重と遺伝学的に重複することが明らかになったが、一方で12座位については、主に胎盤重量への効果、あるいは胎盤重量へのみの効果を示し、これらは胎盤の発達や形態、抗体やアミノ酸の輸送に結び付けられた。メンデル無作為化解析を行うと、胎児の遺伝的指標から予測される胎盤重量の増加は、妊娠高血圧腎症のリスクおよび在胎期間の短縮と因果関係があることが示された。また、これらの解析は、胎盤重量の調節における胎児インスリンの役割を支持しており、胎児の発育と胎盤の成長の間に重要な結び付きがあることを示している。

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