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大動脈疾患:ゲノムワイド関連解析のメタ解析による腹部大動脈瘤のリスク座位の特定と、治療標的としてのPCSK9の同定

Nature Genetics 55, 11 doi: 10.1038/s41588-023-01510-y

腹部大動脈瘤(AAA)は遺伝率のかなり高い一般的な疾患である。本研究では、14の発見コホートについてゲノムワイド関連解析のメタ解析を実施し、これまで未報告の97座位を含む141の独立した関連を明らかにした。メタ解析の結果から構築した多遺伝子リスクスコアは、臨床的リスク因子よりも高い精度でAAAの発生リスクを予測した。AAAのリスク座位に位置する遺伝子は、AAA発生の重要なメカニズムとして、脂質代謝、血管形成とリモデリング、細胞外マトリックスの調節異常、炎症が関与していることを示している。これらの遺伝子群はまた、AAAや他の単一遺伝子疾患性大動脈障害の発生メカニズムが、主にトランスフォーミング増殖因子βシグナル伝達を介して部分的に共通していることを示している。AAAの発生に脂質代謝が役割を果たしていることを示す強い証拠が得られたことから、メンデル無作為化解析を実施して、AAAの発生に非高密度リポタンパク質コレステロールが中心的な役割を果たしていることを立証し、既存のプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬をAAAの抑制に転用できる可能性を明らかにした。このことは前臨床マウスモデルにおいて、PCSK9の機能喪失がAAAの発生を予防することを示した実験によって裏付けられた。

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