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APOBEC3B:APOBEC3BはRループを調節し、がんでの転写に関連した変異誘発を促進する

Nature Genetics 55, 10 doi: 10.1038/s41588-023-01504-w

APOBEC3Bは、一本鎖DNAのシトシンをウラシルに変換するデアミナーゼで、抗ウイルスタンパク質の1つであり、がんにも関与している。しかし、この酵素の細胞での基質については完全には明らかにされていない。今回我々は、APOBEC3Bのプロテオミクスにより、驚くほど多くのRループ因子との相互作用が示されたことを報告する。生化学実験を行うと、細胞内およびin vitroでAPOBEC3BがRループに結合することが分かった。遺伝学実験では、APOBEC3Bを欠いた細胞ではRループが増加し、APOBEC3Bを過剰発現した細胞ではRループが減少することが明らかになった。また、ゲノムワイド解析では、生理的なRループと刺激で誘導されたRループをゲノム全域的に調べると、差次的に変化した数千の領域があることが分かり、それらの主要な変化を明らかにした。さらに、これらの領域の多くに対するAPOBEC3Bの結合を明らかにした。APOBEC3による変異誘発は、腫瘍で過剰発現する遺伝子や、スプライス因子に変異のある腫瘍に選択的に影響を及ぼし、また、APOBEC3に起因するカタエギスはRTCWモチーフに多く見られ、APOBEC3Bによる脱アミノ化と一致することが分かった。APOBEC3Bが一本鎖DNAとRNAに結合し、DNAを選択的に脱アミノ化する事実と合わせると、これらの結果は、APOBEC3BがRループを調節し、がんでのRループ変異誘発に関与する機構を裏付けるものである。

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